JPEGとRAWデータの違い

撮影時にJPEGでの出力とRAWでの出力、そのどちらを使うのがいいか迷う場合があります。ぶっちゃけて本音を書けば、

「迷うくらいなら両方とも出力させればいいじゃん。」

ということになるのですが、それはあまりにも乱暴。要はそれぞれの特性を知って判断すればいいわけですね。

同じ画像でもJPEGは5MBなのにRAWは20MBもある・・これじゃあっという間にハードディスクもいっぱいになっちゃうよ。

なんで、RAWってそんなに大きいの?

これ当然の疑問です。まず、JPEGという画像用のフォーマットがどんなふうに画像を圧縮しているのか?この基本的なコンセプトを理解しましょう。JPEGという形式はデーターを小さくして扱いやすようにするために生まれたのですが、その基本的なコンセプトは以下の通り。

「人間の目って、明暗には敏感だけど、色のかすかな違いって結構鈍感じゃん。だったら、近くの画素を集めて似てる色だったら全部同じ色にしちゃえばいいよね。その分、データの繰り返しで表現できるから小さくなるし。」

そうやって、色のグラデーションなどから色情報を間引きすることで、全体の情報を減らしたのがJPEGなんです。

その減らし方が圧縮率となります。1000種類の色で出来てる画像を100種類に減らせば単純にデータも1/10だし。

そうして、画像を升目状のブロックに分けて、その中を平均化します。

このために、圧縮率が上がるとブロックの中の色が均一化されブロックノイズが出るんですね。

それに対してRAWデータは撮影された時の生データー。全ての色の情報が入っているわけです。だからでかい。

それではJPEGデータとRAWデータでの違いを見て行きましょう。

まずは、撮影したものをJPEGで出力した場合。(それぞれクリックすると別ウインドウで拡大できます)

なお、上記のJPEGの説明はとても乱暴な書き方です。できるだけわかりやすい形に演出してますが、実際の圧縮アルゴリズムはもっと複雑です。

詳しくは http://www.mis.med.akita-u.ac.jp/~kata/image/compress/imagecomp2.html などが分かりやすいかと思います。

1.JPEG

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この条件はとても厳しい撮影条件です。手前が暗くって奥の夕日がすごく明るい。だからカメラも頑張って両方の色を出そうとしてますが、流石に菜の花の茎の部分は黒く潰れています。それではJPEGを元にもう少し明るさの調整をしてみましょう。

2.JPEGを調整したもの

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だいぶ暗い所も明るいところも階調が出てきましたが、やはり茎の部分などはつぶれがちですね。

ではRAWからまずは無加工(と言っても結局JPEGに変換してるわけですが・・・・)での出力。

3.RAWデータ無加工

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色も地味だし、なんとなくコントラストも低くて、弱々しい感じ。でも菜の花の茎の部分はよく見えます。

じゃあ、これから色調などの調整してみましょう。

4.RAWデータを調整

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どうでしょう?違いがわかりますか?全体的に詳細な色の情報が残っています。

例えば左上の空の色などJPEGでは失われているニュアンスが表示されている訳ですね。それに手前の菜の花も色彩が豊かです。

ウェブでこうやって見ている限りは実はどちらもJPEGです。だから、どちらもすでに圧縮された色の情報なんですが、1000種類の色があるRAWを最終的に100類のJPEGにする場合と、元々100種類しか色がないものをさらに加工して作ったものではやはり前者のほうが情報量があるんですね。加工するという行為は情報を減らすことはできても増やすことはできません。

そういった意味でもRAWデータでの撮影は意味があるのです。(この比較写真ではJPEGの方が彩度が高いので一見するとJPEGからの補正写真の方が派手目な印象もありますが、RAWでも、コントラストや彩度をもっとアップすればイメージは近づきます)

ただし、だからといって絶対RAWがいいとはいえません。こういった厳しい撮影条件ではなく、普通の昼間の撮影だったらJPEGのが方がそのカメラやレンズに合わせた最適の絵を作ってくれる場合があります。それは、Lightroomなどで補正するのと違ってメーカーの用意したカメラやレンズによる特性からの補正や、専用のノイズリダクションなどのほうが良い結果をもたらす事があるからです。

従って、それぞれの撮影条件に合わせて切り替えるのがいいでしょうね。